チューリップ「LIVE The 1000th」2008年05月15日 23時06分

ここのところチューリップの1000回目のライブ映像をよく見ます。

彼らはデビュー10年で1000回のライブをこなしました。
10年のうちには全く売れなかった1年間や、メンバー交代による活動休止期間も含まれるので、実際には8年とちょっとで1000回を達成したことになります。

最近の若いもんとは鍛え方が違います。

1000回目のライブは、よみうりランドを借り切り、21000人を集めて行われました。
よみうりランド全体がこの日一日は「TULIP LAND」となり、いわばファンのための祝祭の場となりました。
今みたいに映像化して費用を回収することのできない時代です。
どうやってこのまず儲かりそうのない企画を実現させたのか分かりませんが、それだけ若い人(特に女性)に対して人気と影響力があったということの証でしょう。

金儲けが最優先の昨今、こんなイベントをやらかすアーティストはもうでないでしょう。

財津さんがMCで「これだけ大勢の人が来ているのに、ほんの身内だけでやっているみたいだ」という趣旨のことを言っていますが、これが彼らのライブの特徴だと思います。
別にこれといったすごいことをしているわけではない。
普通に歌を歌っているだけなのに、不思議な一体感を感じさせる。
聴衆が、彼らのことがただ好きなのではなくて、彼らの歌に、それが紡ぐ世界に深く共感しているから、全盛期のチューリップのライブ会場は一つの小宇宙的な空間になるのでしょう。

アーティストと客席の一体感。
これがライブの最高の醍醐味だと思います。

チューリップは音響が悪く、大きすぎるという理由で武道館でのライブをかたくなに拒みました(再結成1回目のツアーで初めて武道館公演を行いましたが)。
解散ツアーのフィナーレも、かつてのホームグラウンドにこだわり、中野サンプラザ4Daysというモンスターバンドの最後としては小規模な会場でした。
(対するオフコースのフィナーレは東京ドームでした)

キャパを犠牲にしても客席との距離を大切にする姿勢というのは、おそらく今のアーティストには全くないでしょう。

80年代の代表曲「光の輪」で、総立ちの女の子たちが顔を涙でグシャグシャにしている映像が、何とも印象に残ります。
彼女たちの幾人かと、おそらく先日のフェスティバルホールですれ違ったのでしょう。
今僕の心を占める素敵なアーティストとも、末永く共に歩んでいきたいというのが切なる願いです。