【宝塚】星組大劇場公演「眠らない男ナポレオン」2014年01月20日 23時16分

宝塚は本来叙情詩を演じる劇団であり、こうした叙事詩に興味がない方にとっては良い悪い以前の問題でしょうし、恐らくそういう方は結構いらっしゃるでしょう。
その意味では好き嫌いが別れる作品だと思いますが、僕はこういう規模の大きな叙事詩は大いに好きなので、劇団及び小池先生の試みは評価します。

物語に関しては、よくもまあこれだけのボリュームのものを2.5時間まで圧縮したもんだと感心するばかりです。
必然的に展開が速いので、かなり一生懸命見ないと話を追い掛けるのが大変です。
キャラクターも多く、予め誰が何の役なのかを憶えておく必要があり、星組のことをそこそこ分かってないとかなり辛いと思うので、ご新規さんには非常に優しくない作品です。
僕は時代背景もそれなりに知っているし、星組は若手を含めてそれなりに頭に入っているので、幸いにしてそうした意味で困ることはありませんでした。

ストーリーの中身は、展開は早いものの過不足無く上手くまとまっていました。
ナポレオンとジョセフィーヌの愛憎もきちんと描かれていて、ロマンスの要素も十分だったと思います。
ただ、皇帝に即位してから転落するまでのナポレオンの増長と周囲の離反については、さすがに展開が速過ぎて分かりづらかったです。
もう少しマルモンの葛藤や周囲との軋轢をはっきり描いた方がよりドラマチックになったと思います。
予定調和に向けてするすると話が進んでいってしまった印象があります。

キャラクターでは、ちえねねのすばらしさは改めて言うまでもありません、
この二人だからできた演目で、他の組ではまず無理でしょう。
とくにねねちゃんの貫禄の演技はさすがでした。
メイクも少し老け気味にしていましたし、年下のナポレオンを翻弄する大人の色気も、年齢故に愛を失うことを恐れる不安も、見事に演じきっていました。

個人的に良かったのがさゆみ。
今までは、彼女自身のキャラは別として、男役としての彼女にはあまり魅力を感じたことがなかったのですが、マルモンは非常に良かったです。
若い頃のお人好しでちょっと抜けている感じもよかったし、終盤のナポレオンを連行するシーンでの苦渋に満ちた演技も素晴らしかったです。
えらそうかもしれませんが、一皮むけたような気がします。

その他では、タレイランのみっちゃんがすごく魅力的でしたね。
ことちゃんもキャラと役柄が良くあっていたと思います。
エジプト遠征のシーンで、ベリーダンサーに迫られてきょどることちゃんは可愛かったです。

いただけないのは、一人二役は良いのだけど、バラスで失脚したヒロさんがフランツⅠ世で出てくるのと、シェイエスで失脚したさやかさんがメッテルニヒで出てくること。
どちらもストーリー上重要な役なので、え?となります。
あとは根本的な話になりますが、これだけベルばらを再演しまくっているなかで、さらに「アンドレア・シェニエ」に本作品と、革命期のフランスを舞台にした演目が多すぎて、そろそろ食傷気味です。
ドラマを作りやすいのは分かりますが、もうちょっと目先を変えて欲しかったと思います。

衣装も超豪華でしたし、個人的にはすごく楽しめましたが、一般受けするかどうかは「?」という舞台でした。

【宝塚】月組梅田芸術劇場公演「風と共に去りぬ」2014年01月21日 23時27分

物語としては最も原作に忠実な版ということで、当然のことながら見応えがありました。
先に上演された宙組版では、スカーレットの最初の結婚のくだりが丸ごと割愛されていて違和感を覚えたのですが、やっぱりアシュレに対して腹いせに婚約をするワンシーンがあると、その後のスカーレットに対する気持ちが全然違います。

予想はしていましたが、やはりいしちゃんとまさおのまさに二人舞台と言った感がありました。
もちろん、コマちゃんのアシュレも、かちゃのスカーレットⅡも、ちゃぴのメラニーもすごく素敵なんですが、主演の二人が別次元過ぎました。

いしちゃんはもはや存在がレット・バトラーの域に達していました。
これと言って特別に作らずに普通に演技をすれば、それがそのままバトラーその人になってしまうといった感じで、だだ漏れる男の色気にうっとりする他ありません。
りかのバトラーは愛に苦悩する繊細なバトラーで、別れのシーンでは自身も傷ついていましたが、いしちゃんは徹頭徹尾骨太で、ラストの別れもスカーレットをきっぱりと捨てていきました。

ただ男臭いだけでなく、随所に顔を出す茶目っ気も男らしさを引き立てていました。
2回目の観劇では、帽子のシーンで、帽子を被って浮かれて踊るスカーレットの真似をして踊って見せて、劇場は大爆笑(セリフはあえて言わず)。
とにかく男役の芸の極みを堪能することができました。

そして問題のまさお。
もうとにかく可愛くて、視界に入っているだけで萌えます。
科白回しも、いつもの真咲節を完全に封印して、勝ち気な娘になりきっていました。
唇をとがらせてすねてみせる表情や、袖の方でかちゃとする小芝居の様子などがいちいち可愛かったです。
ひたすら男らしいいしちゃんとの対比もあり、きらきら具合が半端ではなかったです。
カーテンコールが終わって幕が下りるときは両手でバイバイをするのですが、それがまた殺人的に可愛くて、「やばいって、それやばいよ」とかうわごとのように呟いてました。
やばいのはおまえだっていうね。

久しぶりにアドレナリンが滾る、素晴らしい舞台でした。