【クラシック】インバル=都響新マーラーツィクルスⅠ@みなとみらいホール2012年09月16日 22時30分

マーラー
さすらう若人の歌
交響曲第1番「巨人」

指揮:エリアフ・インバル バリトン:小森輝彦 管弦楽:東京都交響楽団

マーラーが好きか、と訊かれれば、どちらでもない、としか答えようがありません。
派手好きとしては、バカでかい管弦楽は好ましいところなのですが、旋律があるようなないような、構成があるようなないような、統合失調症気味のマーラーの音楽はどうにもとらえどころがなく、嫌いではありませんが好んでは聴きません。

それゆえ、演奏に期待するところは大です。
難解なブルックナーにしても、ヴァントや朝比奈の名演に触れることで開眼した経緯があり、マーラーもとびきりの名演に接することが出来ればその素晴らしさを思い知ることになるのではないかと思っているのです。

この日の演奏は、マーラーの良さを知らしめてくれる、大変な名演でした。

声楽曲についてはよく分からないので、前プロは判断保留。
しかし、独唱の張りがあって輝かしい声の美しさはよく分かりました。

マーラーの交響曲は、元々がこってりしているだけに、あんまりしつこい解釈だとくどくなってしまうし、しかしあんまり客観的だと素材を殺してしまうし、結構アプローチが難しい曲だと思います。
インバルはその辺のさじ加減が実に絶妙でした。

全曲を通じてかなりテンポを揺らしていましたが、芝居っ気に陥る寸前のところでとどめており、劇的効果は抜群でした。
一方で、オケの統率はかなり厳しく取っており、アンサンブルは万全で、弦・木管ともに繊細な表現でした。
また、ハープが非常に効果的で、妙なタイミングでしっかりとした音で鳴るハープがマーラーの分裂気質をよく表していたと思います。

金管の最強奏は、輝かしい音色ながらも音量は抑制されており、力強くも気高さを失っていませんでした。
フィナーレのクライマックスはまさに大天使のラッパのようで、久し振りにオーケストラを聴いて武者震いが出ました。

バーンスタイン(新盤)はほとんど下品一歩手前という感じですが、インバルは交響曲としての構成を組み立てた上で素材の旨味も活かしており、「マーラーもなかなかイカすじゃん」と思わせてくれました。

そして特筆すべきは都響の演奏水準の高さ。
第一バイオリンはフロントローに四方恭子・矢部達哉という日本を代表するバイオリニストを二人並べるという鉄壁の布陣。
響きのカギを握るホルンにせよ、金管にせよアンサンブルや音色に全く不安がなく、インバルの解釈を余すところなく表現していました。
海外の著名オケが素晴らしいのは確かですが、都響は決して引けを取らないと思います。
世界的巨匠と一流オケが組んだマーラーが7500円で聴けるというのは、破格だと思います。

改めてホールの響きの素晴らしさも実感しました。
フィナーレの金管の響きが上から降ってきたのには、心底感動しました。
ホールの良さも、演奏の感動に花を添えたと思います。

こうなると他の曲も聴きたくなるところです。
こうやって、クラシックは一度行くとどツボにはまっていくんですよね。

コメント

_ manicure ― 2017年05月04日 17時07分

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