【クラシック】日フィル:第631回定期演奏会@サントリーホール2011年06月18日 12時24分

ストラヴィンスキー:交響的幻想曲「花火」
チャイコフスキー:ピアノと管弦楽のための幻想曲
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番

指揮・沼尻竜典 ピアノ:小川典子

本来なら首席指揮者のラザレフが振る予定だったが、体調不良により急遽演目を変えて沼尻が登板。
沼尻は以前同じ日フィルを振ったブラームスの2番がメインプロの演奏会を聴いており、なかなか良い印象を持っている指揮者。
コクよりはキレで聴かせるタイプだが程良くテンションが高いというのがそのときの記憶だが、それは間違っていなかった。

プログラムはラザレフの指示がということだが、いずれも初めて聴く演目。
しかし、いずれも素晴らしい曲だった。

ストラヴィンスキーは、光彩陸離としたオケの音色が楽しい佳品。
「春の祭典」などはどこが良いのかさっぱり分からないが、この曲はごく短い作品であるせいか、実におしゃれで気が利いている。
ハルサイもこの延長線上だったら素晴らしい曲になったのではないか。

演奏会を通して改めて思ったが、日フィルは上手くなった気がする。
ラザレフが首席になり、オケが上手くないと話にならないプロコフィエフとかを良くやるようになったからだろうか。

チャイコフスキーは聞いたこともない作品だが、何だかよく分からない曲だった。
何というか、歌心にあふれたショスタコ、という感じ。
何だか妙にリズムが強調されるし、同じ旋律が執拗に反復するし、何を言いたいのかさっぱり分からない。
ただオケもピアノもボリュームたっぷりに鳴るので、退屈はしなかった。
退屈ではなかったが、「だから何?」という感じ。
タンブリンが大活躍で、演奏が終わった後指揮者に促されて打楽器奏者が単独で挨拶するという面白い光景が見られた。

ショスタコはもうショスタコ節全開の、ぶち切れた名作。
とにかくオケはハチャメチャなリズムで大音量で鳴るか、地獄の音楽みたいにひたすら暗い音を囁くかのどちらか。
何が何だかよく分からないが、とにかくソ連で生きていくのが辛いことだけは伝わって来るという感じ。
スケルツォと終結部の爆音が凄まじかった。

2階から見ていて、とにかく木管奏者の負担がハンパではなく、あれは楽器演奏経験のある人にどうなのか聴いてみたいところ。
ホルンはしょっちゅう裏声みたいな高音を出すし、ファゴットの首席が窒息して死ぬんじゃないかという長いパッセージがあったり、かなり消耗しそうな曲だった。
ともあれ、これはCDでも聞き込むべき曲だと思った。

全曲大編成かつ大音量だったが、沼尻はオケをキリッとまとめて良く鳴らしていた。
派手ではないが変に職人肌というわけでもなく、バランスの取れた良い指揮者だと思う。

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