就職活動について・その③ 会社選び編2009年01月31日 00時14分

これは先輩社会人からのアドバイス、というよりはおっさんの与太話、といった具合なので、気軽に読み飛ばしていただければと思います。

学生時代、まさに就活をしている頃はそんな考え方はできませんでしたが、今にして思えば、大切なのは「どんな仕事をしたいか」ではなく、「どんな生き方をしたいか」だと思います。

例えば、僕はマンガの編集の仕事をしたかったので出版社を受けましたが、仮に出版社に受かったとしても、営業や経理に配属されたら何の意味もないわけです。
学生さんが考えているほど会社は甘くありません。
もし仮にやりたい仕事というビジョンがあったとして、その通りのことができることは100%ないと断言できます。
それに近いことができる可能性も限りなくゼロに近いと思います。

多少の希望を抱いてはいましたが、基本的には僕は大きくて安定した会社に就職できれば、どんな会社でも、どんな仕事でもいいと思っていました。
超買い手市場でしたし、とにかく食えるようにならなければならないというのが切実な意識でした。

もちろんそうではない生き方もあります。
例えば、QOLこそが大切だと思うのであれば、そういうことを標榜している会社を厳選しなければなりません。
伊藤忠商事の丹羽宇一郎会長が「入社後10年は泥のように働いてもらう」と日経紙上で断言しているのを読んだことがありますが、大半の会社はそのように考えています。
そんなのゴメンだ、と思うならば、会社はよく選ばなければなりません。

ただ、これは蛇足ですが、個人的にはQOLは与えられるものではなくて自分で切り開き、勝ち取るものだと思っています。
僕は今、休日出勤が前提となっていて、かつ有休を取ることは基本的に許されない職場に勤めていますが、そんな中でも上手いことやりくりしてライブツアーで日本全国を飛び回っています。
何事も「求めよ、さらば与えられん」だと思います。

あとは、「寄らば大樹の陰」か、「自分の才覚でグイグイ上を目指す」かでしょう。
僕は前者を選択しました。
もちろん後者を選択して、のるかそるかの人生を歩むのも一つの選択です。

試験を受ける会社を選択するに当たっては、この2つ以外にポイントはないと僕は思います。

次は内定をもらってからの会社選びです。

昨今企業の内定取り消しが問題になっていますが、僕に言わせれば「何でそんな会社選んじゃったの?」及び「沈みかけてる会社に就職せずに済んでよかったじゃない」ということになります。

例えば、内定者全員が取消となった日本綜合開発ですが、社員500人あまりに対して内定者が50人強。
多すぎます。
多店舗展開している小売りチェーン店とかいうならばいざ知らず、いくら事業拡大を期しているとしてもこれはおかしい。
使えるヤツだけが残ればいいという新入社員を使い捨てようとするポリシーが透けて見え、業績悪化に際してのこうした扱いもむべなるかなと思います。

企業規模に比して採用人数が多すぎる会社は、眉唾だと思った方がいいでしょう。
英会話のNOVAは破綻直前まで大量採用を続けていましたが、よい例だと思います。

その会社と命運を共にするぐらいの強い覚悟があるのならいざ知らず、学校を出て早々路頭に迷いたくないと思うならば、身の丈にあった採用活動をしている会社を選択するのが無難でしょう。

後は会社の成長性や不況に対する体力ですね。
この度の不況でこの二点が非常にはっきりと明らかになりましたので、ある意味今の学生さんはラッキーだと思います。

電機や自動車は、必需品ではあるものの不要不急の財ですから、消費者の購買意欲に業績が大きく左右されます。
好況時は良いですが、不況時には収入も目減りし、雇用すら確保されなくなる可能性があります。
現地生産が増えたとはいえ、輸出もかなりのウエートを占めているので、為替動向にも左右されます。

これは手前味噌な話になってしまうのですが、今僕が勤めている食品メーカーは、主に主食を製造しています。
従って、景気がいいからといってそんなに需要が伸びるわけではありませんが、悪くなったからといって人は飯を食いますし、まして主食ですから、需要が落ちることはありません。
むしろ安価な製品ですので、不況時こそ売り上げが伸びるくらいです。
そして、アメリカとメキシコで圧倒的シェアを誇っており、後ろにはこれからの成長市場南米が控えているので、国内市場は頭打ちでも、海外で稼ぐことが期待できます。
しかも全て現地生産なので、為替動向によって利益が目減りすることはあっても、赤字に転じるようなことは絶対にない。
おかげさまで業績は大変好調で、このご時世に第三四半期も結構な額の業績賞与が支給されました。

その会社が今後真に成長が期待できるかどうかを、シビアに見極める必要があります。
学生さんにはなかなか難しいかもしれませんが、毎日日経を隅から隅まで読むとか、ニュース番組をはしごするとかして、自己防衛のためにアンテナの感度を鋭くしなければなりません。

松下幸之助氏の有名な言葉に、「好況良し、不況なお良し」というものがあります。
また、投資の神様と呼ばれるウォーレン・バフェット氏の投資のポリシーは至ってシンプル、不況時に実力以下に売られすぎた優良企業の株を買い、実力通りの株価になるのを待つというもの。
いずれにせよ、不況はチャンスです。
誰が強いのかがはっきり分かりますし、底の状態から入れば打たれ強くなります。

もちろん熾烈な就職戦線になるとは思いますが、己を磨く最大のチャンスになりますので、頑張ってもらいたいと思います。