【映画】告白2010年07月03日 23時58分

僕は日頃映画をあまり観ません。
何故なら、2時間もの間暗がりにじっとしているのが苦痛だから。
なので、よっぽど観たいと思わなければ、劇場に足を運ぶことはありません。

この映画は何故だか、僕をその「よっぽど」な気持ちにさせました。

僕にとってはひどく痛快な映画でした。
救い様のない心の闇に足を捕らわれ、底無し沼に引きずり込まれるようにして破滅させられる様は、人間が心の奥底に住まわせている原初的な欲動を大いに満足させます。
僕は己の心の闇にはある程度自覚的なつもりなので、大いに楽しめました。

少年少女たちの、いわば「無垢で血の温もりのある悪意」が、大人という怪物の持つ「狡猾で冷たい悪意」になす術もなく蹂躙される様が実に巧みに描かれています。
言い替えれば、中二病を大人が一刀両断。
これはなかなか気持ちが良いです。

あと、善意が悪意にいい様に翻弄されるのも良かったですね。
無責任な善意が事態をどんどん追い込んでいくのを見るのは痛快です。

結末が原作と異なるそうですが、これがありうべき結末だと思います。
原作はもっと凄惨な結末だというのなら、読んでもいいでしょう。

松たか子の凄演はもちろん素晴らしかったのですが、子供たちの演技が特筆に値すると思います。
男の子2人には惜しみない拍手を、です。
美月役の娘も可愛いし、素晴らしかったです。

冷たい悪が跋滬する映画に続いて、肉を打つ暴力が跋滬する映画へ。
人様にはお薦めしませんw。

【宝塚】雪組大劇場公演『ロジェ』『ロック・オン!』2010年07月15日 23時32分

ファンの方には大変申し訳ないのですが、好きな方にはたまらないだろうな、とその魅力を理解はしつつも、水夏希がどうにも好きになれず、ずっと雪組からは足が遠のいていました。
娘役トップの(つい先日亡くなったつかこうへい氏の娘さんだとは、訃報で知りました)愛原実花も正直あまり可愛くない。
でも、財津さんのライブで折角大阪に行くんだから、とチケットをとって出掛けました。

結論から言うと、どちらもすごく面白かったです。
正塚先生のお芝居は色で言えばチャコールグレーという感じですが、『ロジェ』もまさにそんな感じ。
華やかな色恋沙汰はないし、物語もインターポールによるナチの残党狩りというハードなものでしたが、水の雰囲気によく調和していました。
渋い大人の男のドラマでした。
ただ、サヨナラの娘役トップが空気に近かったのはどうなの、とは思いましたが。

役者で特筆すべきは殺し屋役の早霧せいな。
かわゆ~い!
オペラグラス覗きながらはあはあ言ってました。

三木先生のショーはオーソドックスかつ華やかなので大好きです。
今回の『ロック・オン!』も実に素晴らしかったです。
美味しかったのが、僕は2階のA席最前列にいたのですが、ショーの冒頭、目の前の通路に若い生徒さんが勢揃いで踊ってくれました。
隣の隣りに小学校三年くらいの女の子がいたんですが、若い男役の子が正面向いてその子のためだけに踊っていたのに、思わず「いいなあ・・・」。
実際にそんなことされたら、顔を上げられないに決まっているんですがね。

途中新世界への旅立ち、というようなシーンがあるんですが、それがすごく感動的で、初めてショーで感動しました。
群舞が多かったのも、ダンス好きの僕にはうれしかったです。

こう言っては何ですが、見た目がタイプでないトップを見に行ってこんなに満足したのは初めてでした。
こんなことだったら東京も友の会の先行申し込んだのに、と思うも、サヨナラ公演とあってはとっくにソールドアウト。
ちょっと惜しいことをしたかな、と思っています。

財津和夫Concert Tour 2010 ファイナル@NHK大阪ホール2010年07月17日 01時39分

何だかんだで早くも今年4回目のNHK大阪ホール。
千葉県民なのにね。

後ろの席には、みのりんのときの我々のような、コアなファンの集団。
ご婦人方、24公演を皆勤したようなことを話していました。
家族も仕事もあるようなんですが、怖ろしいことです。
軽井沢プリンスのディナーショーも行く気満々。
独り者で気楽な身分の声優オタのがんばりなんて屁みたいなもんだな、とつくづく思い知らされました。

以下、セットリスト。
01.Wake Up
02.セプテンバー
 MC
03.恋は素顔で
04.今日と明日の間に
05.急行の停まる街
06.メルティング
 MC
07.君の指
 MC
08.幸せは始まっていたのに
09.こもれび
10.たったひとりのオーディエンス
 MC
11.ストーブ
12.ぼくがつくった愛のうた
13.この世の端(はし)でも
14.あの星へもどろう
15.OUR SONG~まるで愛のように~ 3フィートの高さから~まるで愛のように
16.切手のないおくりもの
 MC
17..心の旅
18.青春の影
 MC
19.サボテンの花
~アンコール~
20.あの娘は魔法使い
21.夢中さ君に
~ダブルアンコール~
22..二人だけの夜
~トリプルアンコール~
23.夢中さ君に

「メルティング」「君の指」の大人のラブソングの流れはたまらないです。
やっぱり自分は根っこはこの世界の住人なんだな、と思い知らされます。
そして、15曲目のメドレーは、ツアー初日の三郷で聴いたときは衝撃でひっくり返りそうになりましたが、何度聴いても泣けます。
あの美しいファルセットで「愛のように」と繰り返されると、自然と涙があふれてきます。

そして、涙が乾くいとまもなく、「切手のないおくりもの」のサプライズ。
この歌を知らない人はいないと思いますが、NHK「歌はともだち」のために1977年に作られ、翌年「みんなのうた」で放送されて一気に世に知られるようになった歌。
財津さんが後で語ったように、まずライブではやらないので、これには本当にびっくりしましたし、もう号泣です。
この歌を財津さんと一緒に歌える日が来るなんて、夢のようでした。

ツアーファイナルなので、ダブアンまでは既定路線。
「二人だけの夜」終了後、客電がついて、録画で入っていたNHKのスタッフも帰り支度を始めたというのに、ナニワの客は誰も帰らない。
さすがに欲張りすぎだろう、と思っていたのですが、5分ほど粘っているととうとう財津さん登場。
「夢中さ君に」をもう一回やってくれました。
37年前から続く「財津さん」コールがものすごく熱かったです。

跳んだりはねたりするわけではないですし、激情に駆られるわけでもないですが、「歌」を堪能したひとときでした。
この素晴らしい歌を、少しでも長く聴きたいと心の底から思いました。
秋から始まる「Live & Talk」が今から楽しみです。

【宝塚】宙組東京公演『TRAFALGAR~ネルソン、その愛と奇跡~』『ファンキー・サンシャイン』2010年07月18日 12時15分

前日に大劇場で雪組を見てきたばかりで、2日連チャンでの宝塚観劇。
宝塚ファン歴もすっかり長くなりましたが、こんな経験はさすがに初めてです。

珍しくチケットが余ったので、以前青池保子先生の『エル・アルコン』が宝塚化された折りに誘って以来ちょくちょく付き合ってもらっている友人N ちゃんに同行してもらいました。
間違いなくこういうの好きだろうな、と思ったのでw。

果たして、お芝居の方は久しぶりのコスチュームプレイで、大満足。
軍服祭り~♪
英国海軍と仏陸軍の軍服いい男祭りで、オープニングからすっかりお腹いっぱいw。
衣装の素晴らしさが宝塚の特長の一つでもあるので、このへんは大いに面目躍如といったところ。
いい目の保養でした。

ホレイショ(ネルソン)たんの大空祐飛は、可愛い顔してニヒル系、といった感じでかなりツボ。
可愛いのに今の5組のトップの中で最上級生というのも個人的にはツボ。
かわゆい顔して人の奥さん寝取ったりする辺りにきゅんきゅんきておりました。

物語は宝塚の王道で、愛のために・守る者のために戦う、という筋。
クライマックスではハンカチが手放せませんでした。
幕間ではNちゃんと二人、「泣けたね~」とハンカチ片手に顔を見合わせました。
ま、ご婦人方は終演と同時に鼻を鳴らしながらお手洗いに殺到するんですがw。

ショーの方は石田先生なので、若干変わり種。
太陽族のくだりはどうしようかとw。
でも、とむさんのめちゃめちゃシャープなダンスには瞠目しました。
久しぶりに素晴らしいダンスを見ました。

宙組は今後とも要チェックです。

みのりん=財津さん?2010年07月22日 00時05分

きわめて個人的な話なんですが。
折角なので記念として、先日のランティス斎藤プロデューサーとの、チューリップやみのりんについてのツイッターでのやりとりを残しておきたいと思います。

こんなやりとりでした。

7月17日深夜

斎藤P
ライブ盤といえば、チューリップのこれ http://j.mp/cCiWHB も全部記憶するくらい聴き続けました。こんな素晴らしいライブ盤は他には無いと思う。これでライブ盤の素晴らしさの虜になり、色んなライブ盤を買うことになった。 #faylan

よっしー
@Lantis_Saito うわ、鈴蘭&田園ライブですか!」「夕陽を追いかけて」とか「人生の始まり」とか、泣けますね。僕のライブ盤ベストは、一つ前の2のほうなんですが・・・。 #faylan

斎藤P
あ、さっきのチューリップ間違えた! http://j.mp/bt4Z8b が僕の人生変えたライブ盤でした。ライヴ アクト チューリップ イン鈴蘭2 です。これの「人生ゲーム」のお客さんとのコール&レスポンスのやりとりが最高の最高。 #faylan

よっしー
@Lantis_Saito ちょっ、「雨の鈴蘭」ですか!財津さんが今でもチューリップ最高のライブだったと振り返っていますね。「雨の鈴蘭」に影響されて、屋外ライブで雨でびしょ濡れになることに憧れていたのですが、去年のサマキャンで夢が果たされましたw。 #faylan

斎藤P
チューリップの、鈴蘭ライブ話が出来る人に出会えたことが感激、感動。その出会いがツイッターとは。ツイッターやってて良かったと思いました。鈴蘭ライブアクト2のライブ盤は、本当に最高なのです。

斎藤P
@yosshi_mss00627 雨の鈴蘭クオリティのライブを作るのが、僕の大きな目標の、ひとつなのです。#faylan

よっしー
@Lantis_Saito 改めてみのりんの歌が、ライブが僕の心にしっくり来る理由を知った気がします。「人生ゲーム」の掛け合いは最高ですね。それができるオーディエンスでありたいと思います。

斎藤P
@yosshi_mss00627 去年のサマキャンの、サンフラ。雨の鈴蘭の空気感が少し出てたの、気がつきましたか?

よっしー
@Lantis_Saito すみません、慌てて両方の映像を見返してしまいましたw。確かに、暗いステージにピンスポットでみのりんが照らされているところ、似てますね。ライブ中は興奮していてそれどころではなかったですが、そんな仕掛けがあったとは。

斎藤P
@yosshi_mss00627 ポイントは、コールandレスポンスのところです。財津和夫さんがそこにいるかのようでした。僕は感動してました。

よっしー
@Lantis_Saito すみません、ビジュアルのインパクトに負けて肝心なところが・・・。CDと聞き比べをしてみたんですが、おっしゃることまさにその通りですね。ただオーディエンスに声を出させるだけでなく、一緒に歌うことを楽しむ空気が、いいですね。

斎藤P
@yosshi_mss00627 わかっていただけましたか!「次は小さくやってみよう!」・・・・・・ひそひそ・・・・「もっと小さく」・・・ひそひそ・・・・・・・「はい、大きく!」ドカーーーーーン!!!  感動しました。

少し補足すると、「雨の鈴蘭」とは、チューリップが1980年に行った、岐阜県鈴蘭高原で行った2回目のライブ。
2年前にも同地でライブを行っており、そのときには8000人を集めて大成功に終わり、それを受けての2回目は16000人を日本全国から集めて開催されたのでした。

しかし、当日は土砂降りの雨。
会場はスキー場なのですが、土が泥になって流れていくほどの降りだったそうです。
そして、8月だというのに気温は1桁。
ただでさえ雨に濡れて体温を奪われる状況下であり、観客の大半を占める若い女性には過酷を極める状況でした。

雨の野外ステージなので、PAも大半が使い物にならず、方々で火花が上がっていたそうです。
ステージ上でも、ちょっと唇がマイクに触れると軽く感電するような状態。

にもかかわらず、ライブは大成功。
ライブの全曲が録音されて残っているのですが、メンバーは出せる音をフルに使って完璧に曲をこなしています。
(特に、ギターの安部さんがサブギターなどではなく愛器のギブソンを雨に濡れるのも厭わず弾いているのが泣かせます)
財津さんの歌唱はもとより完璧。
劣悪な状況下では奇跡的といってもよい良好な録音を通して、ステージと観客が熱く一体となっているのを聴くことができます。

オーディエンスの盛り上がりは確かにすごいのですが、ただきゃーきゃー言っているわけでないのがすごくよく伝わってくるんです。
その気持ちにメンバーも演奏で応える。
作り手がそのつもりなら、聴き手もそのつもりでいないとな、と僕は思いました。
(これはほとんど僕ピンポイントの感想だと思いますがw)

斎藤さんが言っている「人生ゲーム」は、長く過酷なライブの29曲目、最後に歌われました。
(実際にはこの後に短く別の歌が歌われるのですが、ごく一部なので実質オーラスとなっています)
当時のチューリップのライブではこの曲で客席と掛け合いをやるのが恒例となっていました。
当夜も完璧な掛け合いが行われたのですが、当夜の財津さんと客席のやりとりと、去年のサマキャンでみのりんが「サンフラ」で見せたやりとりが、かなりの部分似ているんです。
特に、斎藤さんが指摘している、「小さく」「もっと小さく」「はい、大きく!」のくだりは、本当にそっくり。
みのりんがチューリップのライブを知っているはずもないので、偶然の一致なんですが、だからこそ斎藤さんが感動したというのが僕にはすごくよく分かります。

ちなみに、「人生ゲーム」での掛け合いっていうのはこういう感じです。

幸せなんかがあるならば(あるならば)
それは慰みのことだろう(ことだろう)
知らない国へ行ってみたい(行ってみたい)
昔夢見た(魔法の靴で)

元の部分は重い雰囲気なのを掛け合いをするときにはリズムを変えており、曲調自体は明るいんですが、よく見るとすごい歌詞です。

僕は鈴蘭高原のライブには参加できなかったけれども、みのりんの河口湖がまさにそれにあたるんだな、と今は思っています。
そんなことを考えたら、あの場に立った時点で号泣しそうで、今から怖いですw。