ランティスさんに物申す2009年06月25日 00時10分

※今日の記事は、「歌っているみのりんが観られればそれだけでいいじゃん」という向きには単にウザイだけだと思われるので、スルーしてください。



斎藤Pもご成婚遊ばしたばかりでもありますし、あまりランティスさんに注文がましいことを言うのも憚られるのですが、ただやはり一消費者として言うべきは言わねばならないと思いますので、この度リリースされたみのりんのライブDVDについて苦言を呈したいと思います。

☆みのりんのボーカルが死んでいる
ちょっとオーバーな言い方ですが、実際そうだと思います。
ボーカルが前に出てこないにも程があります。
完全にバックに埋没してしまってよく聞こえない箇所がいくつもあります。
(みのりんの声が出ていなかったわけではないのは当日参加した僕自身がよく分かっています)

ランティスは音を前に出すということができないのかといえば、今回何故かナベちゃんのギターがやたら前に出てくるので、そういうわけではないのでしょう。
また、ストリングスもかなり良い音の出具合になっています。
(マグレかもしれませんが)

奈々さんの『LIVE FORMULA』は奈々さんのボーカルだけが前に出てきて、バックが平板という音作りで、これはこれであまり評価はできないのですが、ボーカルがしっかり聞こえるだけずっとマシです。
『Tomorrow's chance』も異常なほどボーカルが引っ込んだ録音で、はなはだ欲求不満がたまりますが、最近のランティスはそういう音作りを志向しているんでしょうか。

☆ガンちゃんのドラムが聞こえない
これは大袈裟でもなんでもなく、ドラムがまともに聞こえるシーンは一つもありません。
(Interludeのドラムソロですら)
辛うじてスネアは聞こえますが、これも最初の4曲あたりはスネアすらはっきりしていません。
タムの連打は全く聞こえないし、バスドラも行方不明、シンバル類もたまに聞こえる程度。

会場でもドラムの音が足りないと思うことが多かったですが、ドラムに関しては音作りがどうこうという以前に、マイクが音を拾えていないとしか思えません。
(会場でもPAでドラムを抑えていたというなら話は別ですが)

原因はどうあれ、低音の押し出しがかなり強い僕のセットでまともに聞こえないということは、PCとかで観ている方にはドラムはほとんど聞こえていないのではないでしょうか。
もちろん主役はみのりんとはいえ、あれほどの手練れのドラムの妙技をまともに聴けないというのは、ファンにとっては大いに損失ですし、僕自身かなりがっかりしたのは確かです。
(会場での反応を見ていても、ガンちゃんファンはかなり多いですしね)

DVD化するにあたり、ランティスがいい加減な姿勢で臨んでいるとは僕も全く思いませんが、結果として舞台上のパフォーマンスを最良の形で再生できるように腐心しているとは到底思えません。
これは僕の個人的な勘ぐりですが、最近の声優アーティストを巡るビジネスのあり方として、ライブはDVDのためのネタ、というのがあるのではないかと思います。
撮影や録音の経費をツアーの興行費の中に押し込めて、その上でツアーの収支をトントンに持っていけば、ライブDVDは怖ろしく利益率の高い商品となります。
となれば、DVD製作にかかる費用を下げれば下げるほど儲かるわけで、ともすれば映像や音響のマスタリングにかかる手間暇が削られることも大いにあり得ます。

もちろんみのりんのDVDがそうだという確信は全くないのですが、これだけ残念な出来だとそんな下衆の勘ぐりをしてみたくもなってしまいます。
クラシックの世界のように、録音の優秀性まで含めてその作品の価値、とまでは言わないまでも、「ステージで鳴っている音がその通りにちゃんと聞こえる」レベルには達してもらいたいものです。

BDもマスタリングは終わってるんだろうから、同じ音なんだろうなあ。
せめてみのりんのボーカルだけでももっと前に出てくれるとうれしいんですが・・・。

『Soundgirl-音響少女-』連動体感イベント@とらのあな秋葉原本店2009年06月22日 15時50分

わが畏友らぴさんより、オーディオ評論家岩井喬氏が手がける当同人誌と、それに連動した試聴イベントの存在を教えていただき、金魚のフンとなって僕もさっそく先週土曜日の最終回を予約して行ってきました。

同じようなことを何度か書いていますが、アニオタ、ゲーオタという人種は音楽のヘビーユーザーでもあり、もっとその鑑賞環境を向上させることに関心を持つべきだと思っています。
しかしながら、それなりのものはそれなりの値段がしますし、そもそもどこから取っ付いて良いのか分からない、ということが障害としてついて回るのも確かでした。
オーディオ専門店というのは概して敷居が高く感じられますからね。
よしんば入ることはできても、自分が普段聴いているアニソンや声優のアルバムをその場で試聴する、というのはなかなかに抵抗があることです。
(僕などは、オーディオマニアの聖地、ダイナミックオーディオ上層階で、高級外車が買えるクラスのセットでみのりんや奈々さんを平気で試聴してしまいますが・・・)

そんな中、オタクなら誰もがお世話になるとらのあなの本店内で、岩井喬氏自らがレクチャーしながら、かつアニメやゲームからの音源を用いて実機の試聴ができるというこのイベントは、大変意義深いものであると思われます。
僕が参加したのは19:20からという遅い時間でしたが、にもかかわらずほぼ満席という盛況ぶりで、関心の高さも伺われました。
より多くの方々がオーディオに、というよりもより質の高い環境でお気に入りの音楽を聴く、ということに興味を持たれる契機になれば、と思います。

さて、以下は当日用いられた実機を試聴しての僕なりのレポートです。
僕の音についての嗜好を予め簡単に述べておくと、音(特にボーカル)のエッジの立ち方(メリハリ)にはこだわりを持っています。
解像度が細かい、エッジの立った音を好みます。
一方で、音の空間的な広がりにはあまり頓着しません。
こちらを頭に入れていただくと、より各システムの傾向がお分かりいただけるのではないかと思います。

◎KENWOOD K-1000
アンプとチューナーが一体となった「レシーバー」とCDプレイヤー、スピーカーのセット。
CDプレイヤーとレシーバーの性能はかなり良いと思われるのですが、スピーカーがその音を十分に受け止め切れていない印象を強く持ちました。
中低音域が弱く、音の種類が増えると一気にごちゃついてしまいます。
アコギやボーカルなどの単品の音の質感はソフトで、また澪のキャラソンで聴くエレキベースの低音などは逆にズシリとボリュームがあり、好感が持てるのですが、たくさんの音が鳴ると途端にスピーカーのキャパ不足を露呈してしまいます。
ジャズボーカルなんかを聴くには良いシステムでは、と思いました。

◎SONY System501
良くも悪くもソニーが自分の仕事をした、という感じのシステムです。
とにかく音が硬い。
音の解像度は抜群ですが、ニュアンス、といったものは皆無といっていいです。
Suaraさんのボーカルはボカロのようですし、唯のキャラソンはキンキンして大変疲れます。
一方で川井憲次作曲のパトレイバー劇場版第一作の主題曲(『朝日の中へ』)は、グイグイくる迫力が素晴らしかったです。
いわゆる打ち込みを聴くには最適ですが、歌を聴くには全く向いていないシステムだと思います。

◎tangent HiFi200+Clarity4
個人的には今回の4システムの中では抜群に一押しのセットです。
Suaraさんは色気が抜群、『ふわふわタイム』はかなりゴチャゴチャした曲ですが解像度がよいのですっきり聴かせてくれます。
モンハンのテーマ曲は打楽器のボリュームがすごく、スピーカーのサイズを超えた低音の鳴り方です。ホルンなどの管楽器の鳴りも素晴らしい。
ICOのEDはボーイソプラノの艶もさることながら、伴奏のギター?の存在感が素晴らしく、一音一音を疎かにしない解像度の良さに唸りました。
フリータイムで持ち込みのヘビメタをかけた方がいましたが、これもまた気持ちいいくらいギンギンに鳴ります。
ボーカルのニュアンスときめ細かい解像度、そしてサイズを超えたパワーを併せ持っており、大抵のソースはこれで鳴らしきれるという印象を持ちました。

◎LUXMAN Neo classico series
唯一の真空管アンプのセットですが、いわゆる真空管の特徴といわれる「緩さ」のようなものはなく、むしろかなり硬い印象を持ちました。
中高音域にフォーカスがありかなりかっちりしていますが、一方で低音は少し緩く、解像度もあまり高くありません。
Suaraさんにせよ奈々さんにせよ、ボーカルは色気はありませんが生々しく、アルパの音の粒も際立っています。
一方で『Cagayake! GIRLS』などはかなりごちゃついた印象を受けます。
これらの特徴がアンプに由来するのかスピーカーに由来するのかは分かりませんが、硬めの音が好きな僕にとっても硬すぎ、低音が緩いのも気になります。
クラシックやジャズ向けのセットだと思います。

毎回そうではないのかもしれませんが、僕が参加した回にはKENWOODの担当の方や、tangent製品輸入元の社長や今回の製品周りのアクセサリーを提供したメーカーの社長なども来られて挨拶をしてくださり、供給元の方も我々オタクを新たな顧客として真剣に捉えているという印象を持ちました。
関心を持てば徹底的にこだわる、というのがオタクの特質ですから、うまく興味を引くことができればいいお客さんになる素質はあるわけで、お互いにとって良い傾向だと思います。
このようなイベントがまた行われ、更にオーディオファンの裾野が広がっていくことを期待したいと思います。

『Soundgirl』自体もオーディオの基礎知識を養う上で格好の教材ともなりますし、女の子のイラストも美麗でよい眼の保養となりますので、強くお薦めします。

理想のボーカル2009年04月17日 00時07分

また親父の作ったものを褒める話になってしまうのですが・・・。

先日愛用のパワーアンプが壊れたようだ、とその作者である親父に相談したところ、じゃあ家にあるもう一台を持っていくか、という話になり、みのりんの新潟公演の後車を飛ばして実家に帰り、それまで使っていたアンプを返し、新しいのを持ち帰りました。
(親父の名誉のために付け加えると、以前のアンプも壊れたわけではなく、僕のスピーカーとの接続の仕方が悪かったためにまともな音が出なかっただけでした)

で、その新たにもらい受けてきたのが、ウエスタンエレクトリック社が1936年に開発した300Bという名真空管を使用したパワーアンプ。
(実際に搭載しているのは中国製のレプリカ。本物はとてつもなく高価です)
3極管結合のシングルで、パワーは8Wほどとのこと。

これがめちゃめちゃいい音なんです。
打楽器の厚みなんかはいささか欠ける嫌いがありますが、中高音域の豊かさがハンパじゃありません。
つまりボーカルがハンパなく美しいということ。

みのりんの声は、キラキラという表現が最もぴったりきます。
がつんとくる迫力はありませんが、聴いていて幸せな気分になるボーカルです。

真綾の声はしっとりとした艶と深みが増し、ぞくりとします。
「私は丘の上から花瓶を投げる」は鳥肌が立ちました。

特筆すべきはSuaraさん。
「太陽と月」を聴いたときは、鳥肌が立つと同時に視界が滲みました。
あまりにもリアルで、目の前でSuaraさんが歌っているようです。

男性ボーカルはふっくらと豊かな感じになります。
財津さんも小田さんも柔らかな声になり、とても僕の好みです。
きーやんの声もエッジが効いているというよりはやや甘い感じになりますが、僕は好きな響きです。

一方で、下手なエフェクトがかかっているような録音はそのアラが裸になってしまう傾向にあり、奈々さんの『GREAT ACTIVITY』はかなりその傾向が強いです。
奈々さんについては、パワーでゴリゴリ押す方が良いようです。

また、ピアノの音が怖ろしくリアルで、例えばキース・ジャレットの『ケルンコンサート』は、まさに目の前でキースが弾いているようにしか聞こえません。
これにはビビリました。

クラシックは特に弦が豊かに聞こえますし、金管は逆にかなり華やか。
メリハリがくっきりしつつも、音の輪郭が立ちすぎず耳に優しい聞き心地です。

声楽曲なんかはかなり良いです。
僕が持っているヘンデルの『メサイア』はソプラノパートがボーイソプラノによって歌われる盤ですが、天使の歌声はあまりにも神々しく、濁った心が浄化されるようです。

音が大変クリアなので、エッジは立っていなくても角が取れているという印象はなく、KRAFTWERKやUnderworldの音楽もソリッドな肌触りが失われることがありません。

とにかく、人の声を聴くという点では、理想的と言っていいと思います。
様々な魅力を持った歌が、その魅力を損なうことなく部屋いっぱいに響きます。
今までいろいろと試行錯誤してきましたが、一つの到達点に至ったという気がしています。

スピーカーは進化する2008年12月20日 21時11分

もちろんスピーカーが自律進化を遂げるわけはないので、エージングが進んできたと言うことでしょう。

ここのところバカみたいにみのりんばかり聴いていたわけですが、久しぶりにKRAFTWERKの『MINIMUM-MAXIMUM』をかけたのですが、音の進化にびっくりしました。
だいぶ聞き込んだ盤ですが、初めて聴くような箇所が頻出。

低音が分厚くなり、一方で高音がよりシャープになり、全体的に更に筋肉質な音になりました。
とはいえ、清原みたいにただ堅いだけの筋肉ではなくて、イチローのように強くしなやかな筋肉です。
新しいスピーカーにありがちが高音の硬さがなくなり、シャープだけれども全く聴き疲れがしなくなりました。

我が家にお迎えして4ヶ月余り、姫様は順調に成熟への道を歩んでいるようです。

オーディオ批評には果たして意味があるのか2008年11月10日 10時41分

ここのところオーディオについての知識を蓄えるためにオーディオ雑誌や専門ムックをあれこれ読んだのですが、最近「これって本当に意味があるのか?」と思っています。

それは、レビューが書かれている商品を店頭で実際に試聴してみると、その内容とかけ離れている場合が多々見受けられるからです。
ものすごく繊細な音が鳴ると書いてあるのに、実際に聴いてみるとかなり野蛮な音だったり、僕の経験では各紙誌に書いてある通りの印象だったことはほとんどありません。

これは、一つには記事を書いている人がどういう嗜好の持ち主なのかが分からないところに原因があると思います。
仮によく褒めて書いてあったとしても、筆者が僕と正反対の好みの持ち主だとしたら、「反面教師」にはなりうるとしても、その記事について感心することはないでしょう。
しかも、そのことは実際の音を聴いてみないと分からないのです。

僕は「食べログ」というグルメ口コミサイトをよく見るのですが、こちらでは見識豊かなレビュアーさんの場合はその嗜好が明確になっているので、その店が自分の気に入るかどうかは文章を読むだけでおおよそ判断が出来ます。
また、お金をもらっているわけでもないので、公平性という意味でも信頼が置けます。

そう、公平性という面でもオーディオ批評は正直眉唾だと思うことがあります。
お金をもらって書いている文章ですから、特にメーカーが宣伝費をたっぷり使って大々的にキャンペーンをかけている製品が褒められていたりすると、それだけで「?」という気持ちになってしまいます。

実際、オーディオ批評の記事の中で、否定的な表現を見ることはまずありません。
「ヴォーカルは良いが低音が物足りない」とか「中低音は豊かだが高音の質感が荒い」とか、そういう表現はあってもいい(というよりもその方が自然)だと思うのですが、褒めるのが基本となっているので、欠点が非常に分かりにくいのです。
読者にとっては、長所よりもむしろそちらの方が重要だと思うのですが。

実際に聴いてみないと分からない、では記事の意味がありません。
少なくとも初心者のためにはならないでしょう。
どうもこの業界の閉鎖性が気になります。