【雑記】2012年舞台・ライブ総括2013年01月01日 22時59分

01 01/01 茅原実里 COUNTDOWN LIVE 2011-2012(神奈川県民ホール)
02 01/07 グランロデオ HAPPY RODEO LIFEツアー(Zepp Sendai)
03 01/09 グランロデオ HAPPY RODEO LIFEツアー(Zepp Nagoya)
04 01/21 宝塚歌劇花組公演(宝塚大劇場)
05 01/28 坂本真綾ファンクラブライブ「winter songs」(郡山HIP SHOT JAPAN)
06 01/29 坂本真綾ファンクラブライブ「winter songs」(盛岡ペルソナ)
07 02/01 UNISON SQUARE GARDEN「fun time HOLIDAY 4」(クラブクアトロ)
08 02/04 グランロデオ HAPPY RODEO LIFEツアー(Zepp Tokyo)
09 02/05AM 宝塚歌劇宙組公演(中日劇場)
10 02/05PM 坂本真綾ファンクラブライブ「winter songs」(Zepp Nagoya)
11 02/11AM 宝塚歌劇月組公演(宝塚大劇場)
12 02/11PM 坂本真綾ファンクラブライブ「winter songs」(Zepp Osaka)
13 02/12AM 宝塚歌劇月組公演(宝塚大劇場)
14 02/12PM 宝塚歌劇月組公演(宝塚大劇場)
15 02/17 坂本真綾ファンクラブライブ「winter songs」(Zepp Sendai)
16 02/18 飛蘭ライブツアー「ALIVE」(リキッドルーム)
17 02/19 財津和夫「LIVE & TALK」(まつもと市民芸術劇場)
18 02/26 坂本真綾ファンクラブライブ「winter songs」(Zepp Tokyo)
19 03/01 CMB 1st LIVE(O-East)
20 03/02 宝塚歌劇花組公演(東京宝塚劇場)
21 03/10 N響花の京スペシャルコンサート(文京区シビックホール)
22 03/15 新日本フィル定期演奏会(サントリーホール)
23 03/23 都響定期公演(東京文化会館)
24 03/24 宝塚歌劇月組公演(東京宝塚劇場)
25 04/01 宝塚歌劇月組公演(東京宝塚劇場)
26 04/07 茅原実里「D-Formation」ツアー(伊勢原市民会館)
27 04/08 茅原実里「D-Formation」ツアー(松戸森のホール21)
28 04/11 宝塚歌劇月組公演(東京宝塚劇場)
29 04/14AM 宝塚歌劇宙組公演(宝塚大劇場)
30 04/14PM 茅原実里「D-Formation」ツアー(神戸国際会館こくさいホール)
31 04/15 茅原実里「D-Formation」ツアー(福岡市民会館)
32 04/21 UNISON SQUARE GARDEN「Spring Spring Spring」ツアー(Zepp Tokyo)
33 04/22 茅原実里「D-Formation」ツアー(仙台市民会館)
34 04/28 茅原実里「D-Formation」ツアー(札幌市教育文化会館)
35 04/29 小田和正ツアー「どーもどーも!!」(サンワアリーナ青森)
36 04/30 茅原実里「D-Formation」ツアー(新潟県民会館)
37 05/03 茅原実里「D-Formation」ツアー(静岡市民文化会館)
38 05/04 茅原実里「D-Formation」ツアー(中京大学文化会館オーロラホール)
39 05/06 茅原実里「D-Formation」ツアー(大宮ソニックシティ)
40 05/20 茅原実里「D-Formation」ツアー(NHKホール)
41 05/26AM 宝塚歌劇星組公演(宝塚大劇場)
42 05/26PM 茅原実里「D-Formation」ツアー(NHK大阪ホール)
43 05/27 茅原実里「D-Formation」ツアー(NHK大阪ホール)
44 06/08 山中千尋Trio(神奈川県民ホール・小ホール)
45 06/16 茅原実里「ULTRA-Formation」(幕張メッセイベントホール)
46 06/17 茅原実里「PARTY-Formation」(幕張メッセイベントホール)
47 06/22 平野綾「Fragment」ツアー(赤坂Blitz)
48 06/23 財津和夫「Live & Talk」(取手市民会館)
49 06/24 山中千尋Trio(ビルボードライブ東京)
50 07/01 グランロデオ「ロデオ組聖誕祭〜ろ組の人☆ろ!〜」(日比谷野外音楽堂)
51 07/07AM 宝塚歌劇月組公演「ロミオとジュリエット」(宝塚大劇場)
52 07/07PM グランロデオLIVE 2012「Can you Do the SUMMER!?」(大阪城野外音楽堂)
53 07/08AM 宝塚歌劇月組公演「ロミオとジュリエット」(宝塚大劇場)
54 07/08PM グランロデオLIVE 2012「Can you Do the SUMMER!?」(大阪城野外音楽堂)
55 07/14 坂本真綾「朗読劇 私の頭の中の消しゴム」(シアタードラマシティ)
56 07/15AM 宝塚歌劇月組公演「ロミオとジュリエット」(宝塚大劇場)
57 07/15PM 水樹奈々「LIVE UNION 2012」(大阪城ホール)
58 07/16AM 宝塚歌劇月組公演「ロミオとジュリエット」(宝塚大劇場)
59 07/17PM 宝塚歌劇月組公演「ロミオとジュリエット」(宝塚大劇場)
60 08/04 茅原実里「SUMMER CAMP 4」(河口湖ステラシアター)
61 08/05 茅原実里「SUMMER CAMP 4」(河口湖ステラシアター)
62 08/11 シエナウインドオーケストラ定期公演(文京区シビックホール)
63 08/12 宝塚歌劇月組公演「ロミオとジュリエット」(東京宝塚劇場)
64 08/30 宝塚歌劇月組公演「ロミオとジュリエット」(東京宝塚劇場)
65 09/06 坂本真綾「ダディ・ロング・レッグズ」(シアタークリエ)
66 09/07 チューリップ40th memorial tour「THE LIVE」(川口リリアホール)
67 09/08 水樹奈々「LIVE UNION 2012」(QVCマリンフィールド)
68 09/09 コバケン・ワールドVol.2(東京芸術劇場)
69 09/13 坂本真綾「ダディ・ロング・レッグズ」(シアタークリエ)
70 09/15 山中千尋Trio(めぐろパーシモンホール)
71 09/16 インバル=都響「マーラー・ツィクルス」(横浜みなとみらいホール)
72 09/22 チューリップ40th memorial tour「THE LIVE」(府中の森芸術劇場)
73 09/27 UNISON SQUARE GARDEN(赤坂ブリッツ)
74 09/09 チューリップ40th memorial tour「THE LIVE」(市川市市民会館)
75 10/07 チューリップ40th memorial tour「THE LIVE」(東京国際フォーラム・ホールA)
76 10/08 チューリップ40th memorial tour「THE LIVE」(東京国際フォーラム・ホールA)
77 10/17 都響定期公演(東京文化会館)
78 10/21 宝塚歌劇宙組公演「銀河英雄伝説@TAKARAZUKA」(東京宝塚劇場)
79 11/01 宝塚歌劇月組東京特別公演「春の雪」(日本青年館)
80 11/04 インバル=都響「マーラー・ツィクルス」(横浜みなとみらいホール)
81 11/10 チューリップ40th memorial tour「THE LIVE」(神奈川県民ホール)
82 11/18 茅原実里「BIRTHDAY LIVE 2012」(さいたまスーパーアリーナ)
83 11/20 坂本真綾LIVE 2012 TOUR「ミツバチ」(大宮ソニックシティ)
84 11/25 坂本真綾LIVE 2012 TOUR「ミツバチ」(新潟テルサ)
85 12/03 坂本真綾LIVE 2012 TOUR「ミツバチ」(東京ドームシティホール)
86 12/08 グランロデオ「CRACK STAR TOURS」(郡山HIPSHOT JAPAN)
87 12/14 山中千尋Trio(ブルーノート東京)
88 12/15 山中千尋Trio「『After Hours 2 リリースパーティー』」(ブルーノート東京)
89 12/22 坂本真綾LIVE 2012 TOUR「ミツバチ」(札幌市民ホール)
90 12/24 坂本真綾LIVE 2012 TOUR「ミツバチ」(東京エレクトロンホール)
91 12/26 日フィル第九特別演奏会(東京芸術劇場)
92 12/30 坂本真綾LIVE 2012 TOUR「ミツバチ」(中野サンプラザ)

茅原実里:19
坂本真綾:15
宝塚月組:14(宝塚歌劇全組合計:20)
チューリップ(財津和夫):8
グランロデオ:7

2011年が70公演だったようなので、一気に3割増えた形ですね。
夢の3ケタには届かず、ホッとしています。

2012年を振り返ると、お芝居が充実していた年だったと思います。
まず宝塚では月組準トップとなった明日海りおの進境著しいのがうれしい限り。
顔が可愛いだけならそんなに何度も見に行ったりしないのですが、彼女は宝塚には珍しく深く掘り下げた繊細な演技をするタイプで、非常に引き込まれます。
一方で宝塚のスターらしくないという言い方もできるので、好き嫌いが分かれるとは思います。
確かに「ロミジュリ」のロミオはいささか内向的すぎる嫌いもあったように思いますが、一方でティボルトは素晴らしかったです。
宝塚らしくはないものの、「春の雪」の松枝清顕のような役柄は非常にはまっており、独自の世界を切り開いて欲しいところです。

真綾の2本のお芝居も非常に心に残るものでした。
表現者としての才能は計り知れないなと、恐れ入るばかりです。
「私の頭の中の消しゴム」での、若年性アルツハイマーが進行して表情すら失った後の、椅子に座っているシーンが忘れられません。
うつろな表情が持つ壮絶な迫力に、全身が総毛立ちました。
「ダディ・ロング・レッグズ」は快活なラブコメで、きらきらした真綾の魅力全開の舞台でした。
ちょっとした指先の動き、視線の動きが一つ一つ感情を表現していて、才能のだだ漏れ感がハンパではありません。
こうした特質がライブでも生きているのは言うまでもありません。

歌に関しては、僕個人として原点回帰といった感じでした。
一番最初に好きになったアーティストがチューリップで、最初に好きになった声優アーティストが坂本真綾で、いずれもが今年大活躍をしてくれたことで、改めて自分が聴きたい音楽を再認識しました。
ラブソングとスケール感の大きな曲が聴きたいのです。
2013年に関しては、引き続きこの2つをテーマにライブに足を運ぶことになるでしょう。
さしあたっては、チューリップ・真綾ともにツアー日程が発表されているので、日程が許す限り参加することになると思います。

クラシックとジャズが増えることにもなると思います。
インバルを知ったことは非常に収穫でした。
知と情の絶妙なバランスは、興奮と音楽的充実を両立させ、大きな感銘を与えてくれます。
都響定期でのショスタコ4番は、僕の人生の中でも屈指の名演でしたし、マーラーツィクルスも引き続き追いかけていきたいと思います。
山中千尋Trioも可能な限り追いかけます。
クラブで酒を傾けながら、彼女のエモーショナルなピアノを聴くのは得も言われぬ悦楽です。
ピアノ・ベース・ドラムがお互いの呼吸を測りながら音楽を作っていく様は、とてもスリリングでとても興奮します。

特にライブの数を減らそうとか増やそうとか、そういう気持ちは全くなく、今年は心の底から体感したいと思える公演にのみ参加することになるかと思います。
とか何とか言っておきながら、すでに20公演ぐらい参加が決まっているのですが。

【雑記】エヴァQ感想2013年01月05日 23時20分

いやあ、庵野きゅん大きな船が描けて良かったね。
おめでとう!
ヴィレとかいうのも、ネルフだと大きな船が描けないから、船を出すための後付の設定でしょ。
いっそのこと名前もヱクセリヲンにしちゃえば良かったのに、庵野きゅんの照れ屋さん!

あと、さくらたんは完全に薄い本要員ですよね。
まあ、僕も冬コミで買ってきましたけど。
ちゃんと新たな燃料を投下するあたりは、抜け目がないものです。

冗談はさておき真面目な話をすると、庵野さんはもう完全に人類補完計画が何なのかを説明する気は毛頭ないですよね。
先日押井さんが庵野さんを批判している文章を読みましたが、言っていることは分かるものの、的外れだなあと思いました。
宮崎さんやら押井さんが交響曲作家だとしたら、庵野さんはジャズミュージシャンだと思うのです。
前者がテーマを定めてそれを様々に展開した上で結末をつけるのに対し、後者は断片的なテーマだけ決めて後は即興でつなぐのが流儀なので、そういう人に起承転結がなってないとか言っても意味がないのです。

端々に示されるテーマとか、各楽器のソロパートに関しては、さすがにツボを押さえた出来なので、僕は全体的にはQは良かったと思っています。
ただ、、破のラストでレイを助けるシンジの背中を最後に押したことが、ミサトの中でどう消化されているのかが一つ引っ掛かっています。
シンジがサードインパクトを起こした張本人だと言って非難がましいことを言うけど、あんただってシンジに行けって言ったじゃん、と思うのです。
他の人がシンジを睨むのは分かるんですけどね。
あの自爆スイッチを押さなかったことが自責の念の証なんでしょうか。
でもちょっと違うような気がするし。

これは気のせいかも知れませんが、冬月がシンジに見せるユイの写真の一番手前にコネメガネと同じ眼鏡をかけた女性が写っているんですが、これは伏線ですかね。
まあ、今さら何がどうなっても驚きはしませんが。

エヴァとも17年来の付き合いですから、最後まで、いつまででも付き合いますよ。

【クラシック】インバル=都響 新マーラーツィクルスⅤ2013年01月20日 00時34分

マーラー:「リュッケルトの詩による5つの歌」※
マーラー:交響曲第5番

指揮:エリアフ・インバル メゾソプラノ:イリス・フェルミリオン(※) 管弦楽:東京都交響楽団

前プロは詩情豊かな佳曲。
独唱も表情・声量ともにたっぷりとしており、安心して聴けました。
声楽に関しては、やはり肉体的な条件の違いから、まだ日本人と欧米人では差があるように感じます。

フェルミリオン女史が休憩時間に客席に出てきて関係者と談笑を始め、そのまま僕の近くの席に座ってメインプロの交響曲を聴いていたのにはいささか驚きました。
こういうことは欧米でも普通なのか、日本だからなのかは分かりませんが、自分の出番が終わったからそそくさと帰るのではなくちゃんと聴くということは、それだけマエストロの演奏に価値があるということになるのでしょう。

交響曲の演奏は、いうまでもなく大変素晴らしいものでした。
でもやっぱり、マーラーの言いたいことはよく分かりませんでした。
第一部・第二部・第三部のそれぞれのパートでは、中身は一貫しているし、言っていることは何となく分かるんです。
それが全曲となると、全体として結局何が言いたいのかよく分からなくなってしまうのです。
もっとも、それこそがこの曲の本質なのかもしれません。

インバルのアプローチは、変わらず理性と感情のバランスが取れていましたが、今日はややエモーショナル寄りだったような気がします。
有名なアダージェットは、バーンスタインだと青白い文学青年のラブレターみたいですが、インバルは面と向かって告白をするような、熱い情熱を込めます。
熱っぽい弦と、どこかうつろなハープが得も言われぬ世界を表出させていました。

今日とにかく感じ入ったのは、都響の演奏能力の高さ。
VPOと比較しても遜色ないと思います。
ホルン7・トランペット4・トロンボーン3というアレゲな編成ですが、最強奏でも音が濁る場面は皆無、弱音部の乱れもありません。
特にホルンとトランペットの首席の技量は本当に素晴らしいと思います。

弦も本当に素晴らしかったです。
先日聴いた日フィルがひどかったので、とみにそう感じました。
アンサンブルが揺るがないのはもちろん、音量がしっかりしているので安心して聴いていられます。
大きな音を出すのに汲々としていた日フィルとは大違いです。
全曲のフィナーレは大変盛り上がる箇所で、インバルが飛び上がりながらオケをあおり加速させていくの対し、オケは全く乱れることなく完璧にタクトについていき、音楽は否応なしに白熱。
僕も心底興奮しました。

世界的指揮者のマーラー、しかも土曜日の昼下がりという時間にも関わらず、空席が結構目立ちました。
一方で、倍以上の価格の海外オケが満員だったりする現状もあります。
ジャンルを問わず、日本人は自国の演奏家を正当に評価するべきだと思います。

【宝塚】月組大劇場公演『ベルサイユのばら』(盛大にネタバレ)2013年01月29日 23時51分

※ストーリーを含むネタバレ多数なので、閲覧にはご注意ください。

本役と、まさおとみりおが入れ替わる役代わり公演を2回ずつ観ました。
土曜日が本役→役代わり、日曜日が役代わり→本役です。
以上を踏まえての、公演レポです。

物語の組み立てについて、首を傾げるところ無しとはしません。
最初からアンドレの眼は悪いし、オスカルは自由主義に目覚めて衛兵隊に転属してしまっているし、フェルゼンのことは諦めたことになっているし、というのは素っ飛ばしすぎでないか、と。
一応説明的な科白が一言あるものの、一体どうしてアンドレの眼が悪いのか、ということになるでしょうし、フェルゼンがオスカルに別れを告げに来るシーンも、「こいつ何言ってんだ?」ということになるでしょう。
のっけからオスカルが自由主義に燃えているところも、ピンときません。
マラソンで言えば、ペースメーカーが外れた30km地点から始まるようなものです。
僕は原作を読み込んでいましたから、どういう時点から始まったのかすぐ分かっていましたので特に問題はありませんでしたが、原作をよく知らない状態で観たら、よく分からなかったんじゃないかと思います。

舞台の造り自体も古めかしいものがあります。
もちろん初演当時から受け継がれてきた伝統というものなんでしょうが、少なからず違和感を覚えました。
今時滅多にしないべったりしたブルーのアイラインにはびっくりしましたし、「オスカーーール!」のようにやたらと長く伸ばす呼びかけの科白にも面食らいました。
バスチーユ戦の群舞の振り付けも時代を感じさせるもので、とにかくえらく時代がかった舞台だなあ、と思ったものです。

土曜日の午後の公演では、役代わりの難しさもひしひしと感じました。
たった1時間のインターバルで、まさおがオスカル→アンドレ、みりおがアンドレ→オスカルと入れ替わって演じるわけですが、今イチ切り替わっていない感があるのです。
アンドレはあまり男っぽくないし、逆にオスカルは女っぽくない。
衣装と化粧と科白が入れ替わっただけで、あまり役そのものが替わった感じがせず、観ていてものめり込むことが出来ず、首を傾げているうちに終わってしまいました。
それでも、最後のあたりではだいぶ練れてきた感があったので、役代わりから始まる翌日には期待が持てました。

とまあ、いろいろケチをつけようと思えばつけられるのですが、それを差し引いても素晴らしかったです。
まずまさおのオスカルとみりおのアンドレが素晴らしい!
まさおは典型的な白馬の王子様タイプの男役なので、男装の麗人を演じさせてはまらないわけがありません。
基本的には毅然としているのだけど、ちょっとした仕草の端々が実に女性的で(父親のジャルジェ将軍に殴られて倒れ込むところとか)、また科白回しも女性が男言葉を使っている感じがよく出ていて、非常に上手かったです。
アンドレもどちらかといえば湿度の高い男ですが、みりおは可愛い顔に似合わずこの手の男がぴったり合うので、感情移入して観ることが出来ます。
話の辻褄がどうのとかそういうことは完全に抜きにして、二人がついに結ばれるシーンや、倒れるシーンは涙なくしてみることは出来ません。

びっくりしたのは、ラストの有名な馬車のシーン。
銃に倒れたオスカルを、ペガサスの牽く馬車に乗ったアンドレが迎えに来る感動的なシーンな訳ですが、この馬車がすごい。
ここまでやるか、とさすがの僕も度肝を抜かれました。

お芝居が終わった後には15分ほどの短いショーがついています。
(2幕物の長いお芝居をやるときの慣例)
ここでの、故喜多弘先生振付のボレロがもう、素敵すぎて鼻血物。
みりおが女役で、身体のラインがはっきり分かるぴったりしたドレスで出てくるんですが、これがもう色っぽくて。
しかも、お芝居でアンドレをやったときは、化粧が男役なので、彫りが深くなる分ものすごく妖艶。
それだけでも素敵なのに、まさおがみりおの肩から胸、腰までを愛撫する振りでは、もうマンガやアニメなら鼻血を通り過ぎて喀血するところです。
瞬きするのも惜しいデュエットダンスです。

娘役トップのちゃぴの出番があまりないのがちょっと可哀想な気もしますが、「ロミジュリ」ではまだ一杯いっぱいなところがあった彼女が、すっかり立派なトップスターになっていて、感心しました。
脇役では、マギー演じるアランが儲け役でした。
さすがの演技力で、舞台全体をキリッと引き締めていました。

役代わりも、きちんと切り替えが出来ている場合は、本役と同様に面白く観ることが出来ます。
特に、アンドレが死ぬシーンで、みりおが女の声で「アンドレー!」と叫ぶシーンは、哀しいシーンではあるのですが、きゅんときてしまいました。

何だかんだで作品自体にやはり力があるし、演じるスターが魅力的なので、立派に宝塚の歴史に残る名舞台になっていると思います。
特にまさおファン、みりおファンなら何度観ても飽きることはない作品です。
(実際、日曜日は午前・午後ともものすごい立ち見の数でした)
僕が観られるのはあと東京での2公演のみですが、悔いの残らないよう両の眼を見開いてのぞみたいと思います。

【クラシック】印象に残る演奏会2013年01月30日 23時48分

これまでそれなりの回数の演奏会に足を運び、素晴らしかった演奏、ksな演奏といろいろ耳にしてきました。
今までに接した印象的な演奏会を、トホホなものも含めて振り返ってみたいと思います。

一番印象的なのは、やはりヴァント最後の来日公演(オケは手兵北ドイツ放送響)でしょう。
指揮者登場直前の、ホール全体が完全に無音になり、空気そのものが完全に静止した瞬間を、僕は忘れることはないでしょう。
老巨匠の立ち居振る舞いも大変見事で、真の芸術家のオーラとはかくなる物かといたく感心したものです。
演奏も大変素晴らしかったのですが、いかんせんホール(タケミツメモリアル)の空間がドイツの一流オケの大ボリュームを受け止めるには小さく、トゥッティではかなり音の鳴り方が窮屈な局面がありました。
それでも、第一楽章の最後のTrのクレッシェンドには魂をぶっこ抜かれました。

朝比奈隆が都響を振ったブルックナーの8番も忘れられません。
特に第3楽章のアダージョがまさに神の恩寵のごとき素晴らしい響きで、涙を止めることが出来ませんでした。
このときの体験が強烈すぎて、朝比奈の手によるものを筆頭にヴァント・ヨッフム・クナッパーツブッシュと名盤と言われているものを聴いても、録音では満足出来ない身体になってしまいました。

朝比奈というと、新日フィルを振った第九も思い出されます。
一貫してきわめてテンポの遅い演奏で、フルトヴェングラーの表情豊かな演奏を無上のものと思っている身には、立派ではあるものの大変退屈な演奏でした。
しかし、最後の最後、コーダのプレスティッシモのところでちょっとだけテンポが上がり、その瞬間に全身に電気が走るのを感じました。
あまりにも一瞬でしたが、このための遅いテンポだったのか、とも思わせられる、衝撃的な瞬間でした。

小林研一郎は、代名詞のチャイ5がやはり素晴らしいのですが、その他にも名演があります。
来日したハンガリー国立響を振った「幻想交響曲」は、第4・5楽章が本当にキチガイじみていて、手に汗握る激演でした。
一方で、都響を振った「我が祖国」全曲は、情熱だけではなく、オケの巧さを十二分に生かしたコクのある演奏で、ボヘミアの大地が眼前に広がるかのようでした。
上原彩子がチャイコフスキーコンクールで優勝した直後の凱旋公演となった、チャイコフスキーの協奏曲のフィナーレも忘れられません。
出だしからお互い一歩も譲らないテンポでのガチンコ勝負。
コーダではまさにサイドバイサイドといった感じで、まるでF1を観ているかのようなスリルに思わず腰を浮かせたのを憶えています。
あれはトスカニーニ=ホロヴィッツ盤を彷彿とさせる、本当にすさまじい熱演でした。

演奏会ではありませんが、ハンガリー国立ブダペスト・オペレッタ劇場の「メリー・ウイドウ」はめくるめく楽しさで、学生時代に大枚はたいて行った甲斐があった、眼の宝になった舞台です。
大衆演芸といった感じの陽気な舞台で、また是非体験したいと思っています。

指揮者によってオケの音ががらっと変わるというのも、クラシックを聴く醍醐味でしょう。
デュトワがN響を振ってラヴェルの「ラ・ヴァルス」や「ボレロ」を演奏したときは、N響の音にびっくりしました。
普段は重たい、野暮ったい音のN響が、実にパリッとして瀟洒な音を出しており、まるで別のオケのようでした。
このときの両曲は実に生気に富んでおり、本当に素晴らしかったです。

尾高忠明が日フィルを振ったウォルトン「ペルシャザールの饗宴」も、音楽のすばらしさと同時に、指揮者のオケの統率に感心させられた演奏でした。
日フィルってこんなに巧いオケだったっけ?と耳を疑うほど各パートがミスなく、大編成にもかかわらず響きも透明で、引き込まれました。

ダメな演奏というのも幾度か経験しています。
N響の定期会員だったときに、聞いたこともない風采の上がらない爺さんの指揮者が登壇したことがあり、このときはひどかったです。
前プロの「マイスタージンガー」は、少し前に聞いたワセオケの方が下手だけど元気が良い分まだマシという代物。
メインのブラームス4番に至っては、まるで切れたパンツのゴムみたいに締まりのない演奏で、危うく寝そうになりました。
N響ならもっとマシな指揮者が呼べるだろうに、何か大人の事情があったのかしら、と勘繰りたくなるほどひどい演奏でした。

来日したアバドとベルリンフィルによる、青少年のための夕べと題された第九の演奏会もひどかったです。
NHKホールの3階ということを差し引いても、明らかにやっつけ仕事な演奏で、非常に萎えました。
こんなつまらない演奏会なら聴かない方がマシだと思いながら、帰路についたものです。

ラトルとバーミンガム市響の「エロイカ」も、ベートーヴェンの干物みたいな演奏で、学生時分にせっかく高いチケットを買ったのに、非常にがっかりしました。
こんな経験があるので、基本的に巨匠+海外有名オケの来日公演には懐疑的なのです。
(ヴァントは別格ですが)

今の注目はインバルと都響の組み合わせ。
マーラーもそうですが、ブラームスやショスタコーヴィチも素晴らしかったので、インバルの都響での任期が切れる前に聴けるだけ聴いておくのが吉でしょう。
ブルックナー9番や第九をやってくれるのは実にうれしい限り。
耳の宝になること間違いないのではないかと思っています。