【クラシック】第623回日本フィル東京定期演奏会@サントリーホール2010年09月11日 13時02分

品川から溜池山王は15分程度なので、18:30の電車に乗れば開演に間に合うので、秋期の会員になりました。
電車通勤はしんどいですが、こういうところが都心勤めの醍醐味です。

チャイコフスキー:バレエ組曲『白鳥の湖』より「情景」「ワルツ」「4羽の白鳥の踊り」「チャールダーシュ」
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番
プロコフィエフ:交響曲第5番
(アンコール)プロコフィエフ:歌劇『戦争と平和』より「ワルツ」

ピアノ:上原彩子
指揮:アレクサンドル・ラザレフ

日フィル音楽監督のラザレフを聴くのは今回が初めて。
まさしくロシアっぽいというか、繊細さはないけれどもマッシブな音作りで、都響などと比べるとときに音の薄さが気になる日フィルですが、ラザレフの薫陶をつけて今後どう音が変わっていくか楽しみです。

客席の入りは3/4といったところ。
金曜とはいえ平日だとそんなもんですかね。
定期公演だと客の質がよいので、その辺は安心です。

チャイ様はラザレフのマッシブな音が最高に生きた名演。
「情景」は誰でも知っているあの旋律ですが、ただの情景ででっかく盛り上がってしまうところがチャイ様のいいところ。
とても白鳥の湖の情景なんて生やさしいものではなくて、「竜王の城」ってな風情です。

「チャールダーシュ」のスリリングさもさすがチャイ様。
ラザレフの盛り上げもさすがに当を得ていて、楽しかったです。

ピアノの上原彩子は、2002年に女性として初めてチャイコフスキーコンクールで第1位を獲得した直後に、コバケンとくんだチャイ様のPコンを聴きました。
これが大変な名演で、殊にフィナーレのクライマックスはホロヴィッツとトスカニーニの激演を彷彿とさせる、指揮者とソリストの激突でした。
オケを崩壊寸前まで煽って上原を挑発するコバケン、それを正面から受け止めて一歩も引かない上原のピアノ。
聴いていて、前のめりになって思わず腰を浮かせたのを憶えています。
今まで聴いたピアノ協奏曲の実演の中では、断トツのベストです。

そんな激演を期待したんですが、この日はちょっと期待はずれ。
上原のピアノがすごいのは、見ていてよく分かったのですが、あまり音が聞こえてこないのですごさが耳に伝わってこないのです。
上原のピアノのボリュームが足りないということはないと思うので、席が悪いのか(でも2階6列は音的にも良席だと思うが)、それともオケの音がでかかったのかは分かりませんが、とにかく残念でした。
それでもフィナーレのクライマックスのたたみかけはさすがのド迫力で、最後の最後のモヤモヤが晴れました。

交響曲は、ゲルギエフが振った交響曲全集を買って予習したんですが、CDで聴く限り今ひとつピンとこない曲だと思っていました。
しかし、あら不思議、ライブで聴くとこれがいい曲じゃありませんか。
CDで聴くと、ショスタコよりも晦渋な曲の構成がつまらないなあという印象だったのですが、ラザレフのぶっとい音作りのせいもあり、なかなかに聴き応えがありました。
ブラスぶかぶか、パーカスぽかぽか、派手に鳴りまくり、気持ちが良かったです。
曲のラストは、とどめの一発!という感じで終わるんですが、ラザレフの見得の切り方が面白かった。
ちょっとよろめいてたけど。

アンコールは、めずらしく5分を超えるかなり長い曲。
ラザレフは陽気なロシア人という感じで、サービス精神旺盛なように見受けました。
曲目によっては面白いかも。

総じてなかなか良い演奏会でした。
これで@4400はお得。
次は逝っちゃった編成の『ペルシャザールの饗宴』、楽しみ~♪。

【クラシック】シエナ・ウインドオーケストラ第33回定期演奏会@東京芸術劇場2010年09月25日 02時35分

C.T スミス:『華麗なる舞曲』
G. ホルスト:『吹奏楽のための第2組曲』
音楽のおもちゃ箱~佐渡裕のトークと音楽~
・「鉄腕アトム」のテーマと「ウルトラマン」のテーマより
・打楽器奏者10人によるハンド&ボディクラッピング
・「翼をください」&「大地讃頌」(with高津市民合唱団)
・「マンボNo.5」
O. レスピーギ:『リュートのための古風な舞曲とアリア』第3組曲(真島俊夫新編曲)
O. レスピーギ:交響詩『ローマの祭り』(森田一浩編曲)
《アンコール》
V. マッコイ:『アフリカン・シンフォニー』
スーザ:『星条旗よ永遠なれ』

指揮:佐渡裕 シエナ・ウインドオーケストラ

今まで吹奏楽を聴いたことはなかったのですが、ここのところで吹奏楽経験者(あるいは現在進行形の)の方とマイミクになり、影響を受けやすいので一度ちゃんと聴こうと思い、出掛けました。

客席は満席。
制服姿の学生さんも結構いましたね。
部活でやっているのでしょう。
僕の隣りも、私服でしたが高校生でした。

佐渡裕には一度期待を裏切られたことがあります。
以前1回だけ聴いたことがあり、そのときのメインがショスタコ5番でした。
師匠譲りの超速爆演を期待していたら、実に普通のテンポの演奏で、大いにガッカリしました。
(師匠が書いた小品はなかなか良かったんですが)
なので、個人的には佐渡裕リベンジ、と言うような意味合いもありました。

仕事が押した揚げ句に湘南新宿ラインが遅れるというトラブルで、なんと1曲目が聴けず。
ロビーにも音だけは流れていたんですが、例えるならショスタコ6番のフィナーレを1.5倍速で演奏しているようなお祭り騒ぎ。
これは聴きたかった・・・。
コンクールでも花形らしいですが、どんだけ練習するんでしょうね。
しかも、パンフレットをみると全国大会の初演は中学生だったとか。
どんな軍隊的特訓をしたんだか・・・。

ホルストは、まあホルストだね、という感じ。
良くできているし、メロディも親しみやすいけど、とにかく地味。
面白くないわけではないけど、華がないんだよなあ。
「古典的名曲」ってやつですね。

「音楽のおもちゃ箱」と題されたワンシーンは、とても面白かったです。
まずは佐渡がリコーダーを取り出して、器用にテーマ2曲を吹くと、そこからオケ(と言いながらほとんどの奏者がリコーダー)も参加して一盛り上がり。
クラッピングはなかなか見事でしたし、聴衆にも参加させる一幕も。
マンボもみんな立った上で、例のかけ声をシャウトしたり、ステップを踏みながら手拍子したりと、聴衆参加型(割とみんなノリが良い)で楽しかったです。

『リュート…』は悪くなかったんですが、音量がでかすぎるような気がしました。
元々バロック以前の音楽なので、もっと鄙びた感じがほしかったです。
もっと優しく吹いても良かったのでは。
この辺は佐渡のマッシブな面がマイナスに働いたような気がします。

一転、『ローマの祭り』は最高でした。
CDではトスカニーニ盤を愛聴していますが、迫力の点では凌駕する出来映えだったと思います。
アンサンブルにはゆるみがなく、かつキレがあって興奮しっぱなし。
フィナーレのコーダでは、トスカニーニは見得を切るようにテンポを揺らしますが、佐渡はアッチェレラントをかけて一気に駆け抜けていきました。
気持ちよかったですねえ。

アンコールは土俗的で野蛮に盛り上がった後、楽器を持参した聴衆が参加しての『星条旗』。
舞台に上がるのは大半が現役の学生さんで、団員の数よりずっと多かったです。
トロンボーンやチューバを持ってくる猛者も。
佐渡がシエナのタクトを振った当初からアンコールでの参加を呼びかけていたらしいですが、最初の2年は誰も上がってこなかったそうです。
それが今では、シエナの舞台に立つために楽器を始める人がいるくらいだそうです。
一応ちゃんと音楽にはなっていました。

音楽を「楽しむ」というのが前面に出たコンサートで、本当に楽しかったです。
そしてまた、吹奏楽の魅力にも完全にとりつかれましたよ。
打楽器がかなり重要な要素となるので、リズムフェチとしてはたまらんですな。

また行こう(って、さっそく来年の「カルミナ」のチケット取ったんですがw)